“鳴らない”をデフォルトにする1週間
通知の洪水を標準機能だけで止める実装ガイドです。iPhoneは「集中モード+スマート起動」、Androidは「Digital Wellbeing(ダッシュボード/Focus/就寝)」で、通知を即時/まとめ/無通知の三層に再設計します。
1週間の効果測定テンプレとOS別・職種別レシピつき。研究では通知を抑えると不注意・多動感が下がる示唆もあります。
- この記事でできること
- 重要連絡だけ“即時”に残し、それ以外を定時のまとめ受信に移行
- iOS/Androidの手順をそのまま再現(スクショ位置の指定つき)
- 1週間ログで“切りすぎ・漏れ”を可視化し、翌週に微調整
- この記事の独自要素
- 実験プロトコル:事前3日 → 介入7日 → 事後3日の“通知・中断・集中度”ログ台本
- ケース別レシピ(会社員/フリーランス/学生)で“許可・まとめ・遮断”の具体例
- 失敗例データベース(見逃した連絡/週明け爆発/腕時計だけ鳴る など)と回避策
- 前提
- OSバージョンや機種で画面名称が異なる場合がありますが、本稿の**設計思想(即時/まとめ/無通知)**は同じです。
背景|なぜ“構造”から変えるのか
- “鳴るから見る”がデフォルトだと、意思の力だけでは勝てない。
- 即時・まとめ・無通知の**“構造先行”**に変えると、見ずに済む時間が自動的に増える。
- 実験研究でも、アラート露出が高い状態は**不注意・多動感↑**につながる示唆がある。
図1:通知の三層設計(即時/まとめ受信/無通知)

設計思想(3レイヤー)
- 即時:家族・上司・緊急連絡・配送・当日カレンダー
- まとめ:SNS/ニュース/通販/メルマガ(昼・夕など1~3枠に集約)
- 無通知:短動画・ゲーム・フラッシュセール等(音・バイブ・バナーすべて切る)
実装:iPhone(iOS)手順
1. 集中モード(Focus)
- 操作:設定 > 集中モード
- 仕事/個人/睡眠の3プロファイルを新規作成
- 「許可する人/アプリ」に即時だけを入れる(家族・上司・当日カレンダー・主要メッセージ1つ)
2. スマート起動(自動ON)
- 操作:集中モード > 対象プロファイル > スケジュールまたは自動化
- 例:平日9:00–18:00で「仕事」、帰宅で“個人”、**就寝時間で“睡眠”**を自動ON
3. 通知の要約(まとめ受信)
- 操作:設定 > 通知 > 通知の要約
- 12:30/18:30(必要なら21:00を追加)に設定
- 要約対象にSNS・ニュース・通販を指定(アプリごとにON)
4. 緊急バイパス/微調整
- 「繰り返しの通話は許可」「VIP(家族等)は常に許可」
- 音・バイブOFF、ロック画面の表示のみで刺激を下げる
- ホームは1ページ運用+ウィジェット最小
実装:Android(素のAndroid想定)
1. 現状の可視化(Digital Wellbeing)
- 操作:設定 > Digital Wellbeing
- 通知数/起動回数/画面点灯回数を確認 → 多いアプリTOP3を特定
2. Focusモード(最重要)
- 操作:Digital Wellbeing > Focusモード
- “気を散らすアプリ”(短動画・SNS等)を選択 → ON
- スケジュール(勤務時間・学習時間)で自動化
3. 就寝モード(Bedtime)
- 操作:Digital Wellbeing > 就寝モード
- 就寝~起床の通知・画面演出を自動抑制(グレースケールも可)
4. 通知チャンネル調整
- アプリ情報 > 通知 > チャンネルで「バッジのみ」「サイレント」に落とす
- メーカーUI(例:Samsung「モードとルーティン」)は名前違いでも方針は同じ
“まとめ受信”の設計(共通)
- 朝イチは開かない → 午前の深作業を守る
- 12:30/18:30の2枠をベースに、必要なら21:00を追加
- 週次で対象アプリの入替(増えたアプリは“まとめ”へ降格)
ケースレシピ(職種別)
会社員(会議多)
- 即時:家族/上司/当日カレンダー/メッセンジャー1つ
- まとめ:SNS/ニュース/社内ツールの雑談系チャンネル
- 無通知:短動画・EC
- 自動化:Focus(9–18)、要約(12:30/18:30)、就寝(23–7)
フリーランス
- 即時:主要クライアントの電話・メール/当日カレンダー
- まとめ:SNS/収集系
- 無通知:娯楽
- 自動化:午前深作業10–12/午後13–16、要約(11:50/17:50)、就寝(23–6)
学生
- 即時:家族/授業・学内メール
- まとめ:SNS/コミュニティ
- 無通知:ゲーム
- 自動化:授業スケジュール連動のFocus、要約(15:30/21:00)
本記事の独自データ(読者参加OK)
- 事前3日平均:通知 210.0件/日、画面点灯 111.0回/日、中断 17.3回/日、集中度 2.60/5
- 介入7日平均:通知 100.0件/日、画面点灯 59.0回/日、中断 8.6回/日、集中度 3.77/5
- 事後3日平均:通知 120.0件/日、画面点灯 67.7回/日、中断 9.7回/日、集中度 3.63/5
- 主要な調整点:許可 家族/要約時間(12:30, 18:30)/遮断アプリ(短動画・一部SNS・セール通知系)
- クリティカルな失敗:____(対処:____)
失敗例データベース
- 重要連絡が漏れた:許可リストが狭すぎ → 初週は広め→縮小
- 週明けに通知が爆発:要約枠1つ → 2~3枠に分割
- スマートウォッチだけ鳴る:ミラー設定の例外 → 時計側も端末と同等設定に
1週間検証テンプレ(コピペ)
目的:通知の最小化/集中の最大化
指標:①1日通知数 ②画面点灯回数 ③中断回数 ④主観的集中度(1–5)
事前(3日平均):①___ ②___ ③___ ④___
設定:iPhone=仕事/個人/睡眠+スマート起動/Android=Focus+就寝22:30–7:00
結果(7日平均):①___ ②___ ③___ ④___
所感&改善:____
参考・出典
- Apple公式「iPhoneで集中モードを設定する」
- Apple公式「通知の要約(割り込みを減らす)」
- Androidヘルプ「Digital Wellbeing の使い方(ダッシュボード/Focus/就寝)」
- Android公式サイト「Digital Wellbeing 概要」
- 論文:Kushlev & Proulx (2016) “Smartphone Notifications Increase Inattention …”
関連記事
通知設計の三層化|即時/要約/無通知で“中断ゼロ”に近づける
本記事のアプリ別設定を“三層”にマッピングし、検証テンプレのログに「即時/要約/無通知」列を追加して運用を可視化。
情報過多社会での集中術 ― デジタル・デトックスの実践法
SNS・ニュースのプッシュを「要約受信+決め時間」に集約し、スクリーンタイムや解錠回数を1週間テンプレのKPIに設定。
朝の90分で片づく“最小朝活”|前夜設計×着手5分
おやすみ/フォーカスを朝活終了時刻まで自動延長し、起床〜90分は家族・上長のみ即時、その他は要約受信に固定。
タイムボックス仕事術:1–3–5ルール×カレンダー予定化で“終わる一日”に
各タイムボックスに通知の受付窓を定義(例:25分作業+5分返信)し、カレンダーに「通知要約タイム」をブロック化。iOSショートカット/Androidルーチンで自動切替。


コメント