“反省会”ではなく来週を軽くする時間
週次レビューは、反省点を列挙する場ではありません。来週の時間割を変えるための意思決定です。そこで私は、金曜の終業前15分に固定し、3つの指標(進捗/見積り誤差/阻害要因)だけを見ます。指標は少ないほど毎週ブレません。本稿は、台本・図解・独自データの三点セットで、誰でも同じ質で回せる形に整えました。
日々のToDoは、まず「思考の棚卸し術(10分プロトコル)」で書き出し→仕分け→行動化へ。金曜15分の週次レビューと連携させると、翌週の時間割にスムーズに落とし込めます。
思考の棚卸し術 ― モヤモヤを紙に出す“頭のデトックス法”
台本テンプレ(15分で回す週次レビュー)
金曜の15分で、翌週の負荷を軽くするための標準手順です。チェックを付けながら淡々と回せばOK。必要なら所要時間を伸縮してください。
0|準備(1分)
- □ タイマー15分を起動
- □ 今週のログ(タスク管理/カレンダー/メモ/One Inbox)を開く
- □ 「来週の暫定予定」カレンダーも開く
1|ログ回収(3分)
- □ 今週完了したタスクを一覧(Doneリスト)へ移す
- □ 未着手/中断タスクを抽出して「見積り」と「阻害要因」をメモ
- □ One Inbox にあるメモ/思いつき ToDo を全て収集
2|3指標レビュー(7分)
- □ 進捗:今週の達成率(計画に対して何%進んだか)を算出
- □ 見積り誤差:計画所要と実績のズレを評価(小/中/大)
- □ 阻害要因:内的(集中/準備不足)/外的(割込み/依存関係)を仕分け
3|配分&予約(4分)
- □ 来週のTime Blocking(時間の箱)へ割当(朝の90分枠を起点)
- □ 難度が高いタスクは極小ステップへ分解(最初の1分を決める)
- □ 依存関係は先に連絡・資料依頼を予約(テンプレ文でOK)
- □ 緊急連絡のみ通知の即時層に残し、その他は要約層へ
まず決める指標は3つだけ
- 進捗:今週「進んだ3件/止まった3件」を1行ずつ。成果物のリンクを必ず添える。
- 見積り誤差:予定と実績の差。平均とワーストだけで十分。誤差が大きいなら“見積りの単位”を見直す。
- 阻害要因:通知・会議・情報不足などTop3と対策。来週の時間割に反映できる対策だけを書く。
迷ったら「次週のカレンダーが変わるか」で残す/捨てるを決める。変わらない学びは書かない。
3指標の測り方(定義/収集方法/改善トリガー)
| 指標 | 定義 | 収集方法 | 指標の見方 | 改善トリガー |
|---|---|---|---|---|
| 進捗 | 今週の到達度(計画に対する完了割合) | Done件数/KRの%/見出し数など数量化 | 50〜80%が標準。20%以下は設計を見直し | タスクの粒度を小さく/朝の90分枠へ移設 |
| 見積り誤差 | 計画所要 vs 実績所要のズレ | 各タスクの予定時間と実績時間を記録 | 小:±30%未満、中:±30〜80%、大:±80%以上 | 大が連続→分解不足。前夜準備・開始儀式を追加 |
| 阻害要因 | 進行を妨げた内的/外的要因 | 割込みログ/欠品・依存関係/集中切れの記録 | 同型の阻害が反復していないかを確認 | 通知の三層化/依頼の先出し/場所・時間の変更 |
見積り誤差は、感覚ではなく記録で把握すると再現性が上がります。大誤差が続くタスクは「分解不足」「前提の未準備」「外的依存」が原因になりがちです。
図1|金曜15分のタイムライン(00–15)

- 0–4分:成否の抽出…進んだ3件/止まった3件。理由は名詞+動詞1語で短く(例:仕様未確定)。
- 4–8分:数字で見る…平均誤差、ワースト、会議合計、深作業枠の数。
- 8–12分:やめるを決める…禁止(ゼロ化)/制限(上限)/委任(人or自動)の3層で1つずつ。
- 12–15分:次週を予約…1–3–5(大1/中3/小5)を書き、カレンダーに置く。会議は予約ページの可用時間内だけ。
難度の高い作業は、翌週の「朝の90分で片づく“最小朝活”」に入れると失敗しにくくなります。1–3–5(大1/中3/小5)をこの枠に優先配置しましょう。
朝の90分で片づく“最小朝活”|前夜設計×着手5分
金曜15分の台本(コピペOK)
00:00–04:00|成否の抽出
- 進んだ3件/止まった3件(理由1語)
- 成果物リンク(スライド/図/ノート)
04:00–08:00|数字で見る
- 平均誤差 ____分(ワースト ____分:__)
- 会議合計 ____分(先週比 ____%)/深作業(60分以上) ____本
08:00–12:00|やめる・減らす
- 禁止:__/制限:__/委任:__
12:00–15:00|次週を予約
- 1–3–5をGoogleカレンダーへ配置
- 会議は火木14–17のみ(バッファ10分・最大3件)
割込みが多い場合は、翌週に向けて「通知設計(即時/要約/無通知の三層)」を見直しておくと、深い作業枠が安定します。
通知設計の三層化|即時/要約/無通知で“中断ゼロ”に近づける
図2|見積り誤差の可視化
私の初期データでは、月+20分、木+18分と月初・中盤の会議過多で誤差が拡大。まず大枠(60–90分)を午前に寄せる、木曜は会議を2本までに制限、という時間割の再設計が有効でした。誤差の原因が“作業”ではなく“会議の構造”にあることが多い点は見落としがちです。

独自データ(初期公開版)
A. 日次ログ(5営業日)
| 日 | 大枠(本) | 中枠(本) | 会議(分) | 深作業枠(本) | 予定→実績差(分) | 気分(1–5) | メモ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 月 | 1 | 3 | 75 | 2 | +20 | 3.4 | 午前に通知多く中断 |
| 火 | 1 | 3 | 45 | 2 | +10 | 3.7 | 要件固まり進捗良 |
| 水 | 1 | 3 | 30 | 3 | +5 | 3.9 | 午前に大枠×2成功 |
| 木 | 1 | 3 | 70 | 2 | +18 | 3.6 | 会議延長/議題過多 |
| 金 | 1 | 3 | 40 | 2 | +12 | 3.8 | 15分レビュー実施 |
サマリー(週)
- 進んだ:企画v1完成/ユーザーフロー確定/読書ノート×2
- 止まった:仕様待ち/素材待ち/見積り不確実
- 平均誤差:13.0分/ワースト:+20分(月)
- 会議合計:260分(先週比 -18%)
- 深作業枠:11本(目標10本クリア)
運用の要点(実務のコツ)
- “数字→行動”に落とす:数字は必ず時間割の変更で回収する(例:木曜は会議2本まで)。
- 誤差の単位を揃える:タスクを30・60・90分の三択にすると誤差比較がしやすい。
- 成果物を伴走させる:レビュー時に1つだけ成果物リンクを貼ると、E-E-A-Tの“実在性”が跳ねる。
- 公開運用:記事末尾に今週のサマリーを追記→更新履歴を育てる。
失敗例と対処
- 反省が長引く → 台本の時間割を守る。長文は来週のタスク化で外に出す。
- 誤差が大きい → “終了条件1行”が曖昧。成果物の定義を先に書く。
- 会議が短くならない → アジェンダ1枚+30秒クロージャ。議題を決める/決めないに切る。
テンプレ(週次レビュー・記入)※コピペ
【週】2025-__-__(テーマ:__)
【進んだ3件】__/__/__
【止まった3件】__/__/__(理由:__)
【数字】平均誤差 __分(ワースト __分:__)/会議 __分(先週比 __%)/深作業 __本
【阻害Top3】1)__(対策:__) 2)__(対策:__) 3)__(対策:__)
【来週の1–3–5】大=__/中=__,__,__/小=__×5
【予約】火木14–17のみ可 / バッファ10分 / 最大3件
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