逆算+バッファ+前倒しで「間に合う」を再現。

仕事が「終わらない」の多くは、努力不足ではなく設計不足です。本稿は、締切(D-0)から逆算して中間成果物を刻み、バッファ15–30%と前倒しルールで「間に合う」を再現するための手帳術を、テンプレとケースでまとめました。週次の意思決定は**「週次レビューの作り方」、素材の収集は「思考の棚卸し術」、実行枠は「朝の90分で片づく“最小朝活”」、割込み対策は「通知設計の三層化」**と連携させます。
ステップ1:D-0を固定し、逆算の“線路”を引く
- D-0固定:カレンダーに最終締切を先に置く。
- 中間D(D-7/D-14…):提出物を分割して配置(例:骨子→初稿→レビュー→修正→最終)。
- 終了条件1行:各ステップの「終わり」を1行で定義(例:スライド20枚・要素埋め済み)。
- 成果物リンク:各中間Dに“置き場(URL/ファイル)”を紐づける。
ミニテンプレ(逆算タイムライン)
D-28:素材集約/ヒアリング完了(終了条件:ヒアリングメモA4×1)
D-21:骨子(章立て)確定(終了条件:見出し10本+要約50字)
D-14:初稿v1完成(終了条件:全スライド粗埋め)
D-10:レビュー(終了条件:FB反映リスト10項目)
D-7:初稿v2(終了条件:重要スライド清書)
D-3:リハーサル(終了条件:通し実演1回/時間内)
D-0:提出/本番
ステップ2:バッファを先置き(15–30%)
- 基本:合計所要の15–30%を先に確保(移動・割込み・認可待ちを含む)。
- 厚くする目安:依存関係が多い/初案件/関係者が多いときは30%。
- 置き場所:各中間Dの直後と前日にバッファ枠を置く。
バッファ設計のコツ
- 先に確保→後で削る(逆は危険)
- 「レビュー待ち」の代替案(代替タスク)を併記
- 割れたら次週の朝90分に吸収(連絡は先出し)
ステップ3:所要見積りを“30/60/90分”に離散化
- 粒度:タスクは30/60/90分の三択。
- 誤差の抑制:離散化で過小評価を抑え、見積り誤差の分析が容易になる。
- 付記:各タスクに「最初の1分」を書き、開始の摩擦をゼロ化。
見積り誤差の補正ループ
- 週次レビューで予定→実績を照合。
- 小:±30%未満/中:±30–80%/大:±80%以上。
- 「大」が続くタスク:分解不足 or 前提未整備。→前夜準備・依存先の先出し連絡で補正。
(評価・更新の方法は**「週次レビューの作り方」**の3指標に準拠)
ステップ4:Time Blocking(時間の箱)へ落とす
- 朝の90分に“難度の高いタスク”を優先配置。
- 会議は火木14–17のみ等の受入枠の制限をルール化。
- 色分け:制作=青/レビュー=緑/会議=赤のように一目で判別。
前倒しルール
- 原則:中間Dを1日前倒し、D-0を半日前倒し。
- 例外:依存が多いタスクは連絡を先行(依頼・資料請求)し、待機中は代替タスクへ。
ケース(架空):提案書の締切を逆算運用
前提:D-0=10月31日(木)。関係者3名、レビュー2回想定。
- D-28(10/3):ヒアリング済み/素材一式収集
- D-21(10/10):骨子→承認
- D-14(10/17):初稿v1→内部レビュー
- D-10(10/21):FB反映→v2
- D-7(10/24):清書/図版差替え
- D-3(10/28):社内リハーサル
- D-0(10/31):提出
所要合計:制作7.5h/レビュー3h/コミュニケーション1.5h=12h
バッファ30%:3.6h → 合計15.6h
配置:月水金の朝90分(4.5h)×3週+バッファ枠をD-14後とD-3前に。
運用ログ(抜粋)
- 誤差:初稿v1で+40%(素材の欠落)→依頼テンプレで先出し連絡
- 割込み:火曜午後に至急会議→通知設計の要約ルールで翌朝に回収
- 学び:終了条件1行を先に書くとFBが速い
つまずき→対処
- レビューが遅れる:代替タスク(図版作成/参考事例収集)をセット。依頼は締切の48h前に。
- 会議で崩れる:会議は受入枠を制限。アジェンダ1枚&30秒クロージャ。
- 着手が遅い:前夜にファイルを開き、初手の1分を書いておく。
- 誤差が大きい:30/60/90の三択へ統一し、週次で補正。
- 通知で中断:**「通知設計の三層化|即時/要約/無通知で“中断ゼロ”に近づける」**で即時の母数を絞る。
テンプレ(コピペ)
【プロジェクト名】____
【D-0】__/__/__(提出・本番)
【中間D】D-7:__/D-14:__/D-21:__
【終了条件1行】____(成果物リンク:__)
【所要見積り】30/60/90分で記入:__
【バッファ】合計所要 × 0.15〜0.30 = __h
【前倒しルール】中間D=1日前/D-0=半日前
【Time Blocking】朝90分:__(月水金)/会議受入枠:__(例:火木14–17)
【見直し】金曜15分:進捗/誤差/阻害要因(→週次レビューの作り方|金曜15分の決算テンプレ)
FAQ
Q:急な差替えが来て破綻します。
A:バッファ先置き+代替タスクが前提。受入枠を決め、超過は翌週へ。朝の90分で取り戻します(→朝の90分で片づく“最小朝活” 完全版|前夜設計→開始儀式→A起動・B最重要・Cレビュー)。
Q:見積りがいつも甘いです。
A:離散化(30/60/90)と週次の誤差補正が効きます。指標と更新のしかたは**「週次レビューの作り方」**へ。
Q:割込み通知で集中が切れます。
A:**「通知設計(即時/要約/無通知の三層)」**で“即時”を家族・上司など最小に。要約は12:30/18:30に固定。
まとめ
素材は**「思考の棚卸し術(10分プロトコル)」で集め、配分は「週次レビューの作り方」で決め、実行は「朝の90分で片づく“最小朝活”」に載せ、割込みは「通知設計(即時/要約/無通知)」で遮断。日常の判断は「決断疲れを防ぐ仕組み」**で定型化し、「間に合う」を日常化します。
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